髪質改善の基本〜なぜダメージレベルで対策が変わるのか
髪質改善という言葉を耳にする機会が増えてきました。しかし、同じ「髪質改善」でも、あなたの髪のダメージ状態によって最適なアプローチは大きく異なります。
髪の毛は一度ダメージを受けると、完全に元の状態に戻すことはできません。これは髪が「死滅細胞」であり、皮膚のように新陳代謝で再生することがないためです。つまり、受けてしまったダメージはそのまま蓄積されていくのです。
私は美容師歴15年、髪質改善個室サロンでの施術経験を持つ髪質改善のスペシャリストとして、年間1,000人以上のお客様の髪を見てきました。その経験から言えることは、髪のダメージレベルを正確に見極め、それに合った対策を選ぶことが美しい髪への近道だということです。

ダメージレベルとは、髪の毛の状態を段階的に分類したもので、一般的には0〜6の7段階で表されます。レベル0は全くダメージのない状態、レベル6は最も深刻なダメージ状態を示します。
あなたの髪はどのレベルでしょうか? 適切なケアを始めるには、まず自分の髪のダメージレベルを知ることが第一歩です。
ダメージレベル1〜2の髪質改善アプローチ
ダメージレベル1〜2の髪は、比較的健康な状態です。この段階では髪の表面に軽いダメージがある程度で、内部構造はほぼ健全な状態を保っています。
具体的な症状としては、毛先に少しのザラつきやひっかかりが見られる程度で、まだツヤも残っています。カラーやパーマをしていなくても、日常生活での紫外線やエアコンによる乾燥などで、このレベルのダメージは蓄積されていきます。

このレベルの髪質改善では、主に「予防」と「軽いケア」がポイントになります。サロンでは紫外線対策用のコーティングトリートメントがおすすめです。これにより、これ以上のダメージを防ぎながら、軽いツヤ感を取り戻すことができます。
ホームケアでは、髪と同じ弱酸性のシャンプーを選ぶことが重要です。洗浄力の強すぎるシャンプーは必要な油分まで奪ってしまい、乾燥の原因になります。また、週に1〜2回のヘアマスクやトリートメントで、髪に潤いを与えましょう。
さらに、ドライヤーの使用前には必ず熱保護スプレーを使用することをおすすめします。熱によるダメージは蓄積しやすく、気づかないうちにレベル3以上に進行してしまうことがあるからです。
この段階でのケアを怠ると、徐々にダメージが蓄積し、より深刻な状態へと進行してしまいます。早めのケアが最大の予防策です。
ダメージレベル3〜4の髪質改善アプローチ
ダメージレベル3〜4になると、髪の内部にまでダメージが進行し、保水力が低下した状態です。見た目にはツヤの減少やパサつきが明らかになり、中間から毛先にかけてザラつきやひっかかりが目立ちます。
このレベルは、数回のカラーやパーマ、頻繁なヘアアイロンの使用などで到達します。櫛が通りにくくなり、スタイリングも思うようにいかなくなってきた…と感じたら、このレベルかもしれません。
レベル3〜4の髪には、「プラチナアクア」のような抗酸化メニューが効果的です。これは髪の老化(酸化)を防ぎ、ダメージしたタンパク質を元に戻してくれる画期的なトリートメントです。
また、「マグネットケア」も効果的です。このトリートメントは、髪の内部のタンパク質が失われた部分に、磁石のように水分や油分、タンパク質を引き寄せて補修します。特にカラーリングをされている方には相性が良く、色持ちも良くなるという嬉しい効果もあります。
ホームケアでは、ダメージ補修成分を含む専用シャンプー・トリートメントの使用が必須です。特にセラミドやケラチン、18-MEAなどの成分が配合されたものを選びましょう。
どんなに良いトリートメントをサロンで受けても、家での洗浄力の強いシャンプーでケア成分を洗い流してしまっては効果半減です。サロンでおすすめされたホームケア製品を使うことで、トリートメントの効果を最大限に引き出しましょう。
このレベルからは、熱スタイリングツールの使用頻度を減らし、使用時の温度も140℃前後に抑えることをおすすめします。同じ箇所に何度もアイロンを当てることも避けましょう。
ダメージレベル5の髪質改善アプローチ
ダメージレベル5になると、髪の内部の栄養素がかなり流出し、保水力が著しく低下します。見た目にはパサパサとした質感で、ツヤがなく、毛先が絡みやすくなります。櫛が通らないほどの絡まりが生じることもあります。
このレベルは、ブリーチを含むカラーリングや縮毛矯正の繰り返し、日常的な高温アイロンの使用などで到達します。遠目で見ても「傷んでいるな」とわかるほど、髪の状態は悪化しています。
レベル5の髪には、複合的なアプローチが必要です。サロンでは「マグネットケア」と「プラチナアクア」を組み合わせた施術がおすすめです。特に髪の中間から毛先にかけては、内部のタンパク質がほとんど失われている状態なので、まずマグネットケアでタンパク質を補充し、その後プラチナアクアで還元することで、髪質を改善していきます。
さらに、「酸熱トリートメント」も効果的です。健康な髪は弱酸性ですが、ダメージが蓄積するとアルカリ性に傾いていきます。酸熱トリートメントは、そのバランスを整え、うねりを抑制し、ハリコシを出してくれます。特にブリーチ毛に効果的です。
ホームケアでは、補修力の高いヘアマスクを週に2〜3回使用することをおすすめします。また、洗い流さないトリートメントも必須アイテムです。髪を濡れたままの状態で長時間放置するのも避けましょう。濡れた髪は乾いた髪よりも傷みやすく、特にダメージレベル5の髪では、その影響が顕著に現れます。
このレベルでは、ヘアカラーやパーマなどの施術を一時的に控え、集中的に髪質改善に取り組むことも検討すべきです。新しく生えてくる健康な髪を守りながら、ダメージ部分を少しずつカットしていくのが理想的です。
ダメージレベル6(ハイダメージ毛)の髪質改善アプローチ
ダメージレベル6は最も深刻な状態で、髪の内部が空洞化しています。髪の芯となるタンパク質もほとんど失われ、触るとスポンジのような感触になることもあります。
具体的な症状としては、枝毛や切れ毛が多発し、髪全体が広がってまとまりません。濡れた状態で指を通すだけでプチプチと切れてしまうこともあります。このレベルは主にブリーチの繰り返しや、縮毛矯正後の強いダメージで到達します。
実は、2025年現在の最新技術では、このようなハイダメージ毛でも諦める必要はなくなってきています。特に注目すべきは「弱酸性縮毛矯正」です。
従来の縮毛矯正はアルカリ性の強い薬剤を使用するため、ダメージ毛には負担が大きすぎました。しかし、弱酸性縮毛矯正は髪に優しい薬剤で施術できるため、ブリーチ毛などのハイダメージ毛にも対応できるようになっています。
レベル6の髪には、まずマグネットケアでタンパク質を補充し、プラチナアクアで還元した後、酸熱トリートメントで髪の質感を整えるという3ステップのアプローチが効果的です。これを3〜4週間に1回、半年ほど続けることで、ダメージレベルを2〜3まで改善できる可能性があります。
どう思いますか? ハイダメージ毛でも、適切なケアを続ければ改善できる可能性があるのです。
ホームケアでは、毎日のケアが特に重要です。シャンプーは必ず弱酸性の低刺激タイプを選び、洗う際は指の腹を使って優しく洗いましょう。タオルドライも強く擦らず、押さえるように水分を取ります。
また、寝る前のナイトケアも効果的です。就寝中の摩擦でさらに髪が傷むことを防ぐため、シルクやサテンの枕カバーを使用するのもおすすめです。
2025年最新!髪質改善の新技術と注目トレンド
髪質改善技術は日々進化しており、2025年現在では従来では考えられなかったアプローチが可能になっています。特に注目すべきは、ダメージレベルに関わらず効果を発揮する新世代の髪質改善技術です。
最も注目すべき技術の一つが「酸性ストレート」です。髪の毛のpHに近い弱酸性の薬剤を使用することで、キューティクルを最小限に開きながら矯正を行います。これにより、髪へのダメージを抑えつつ、くせやうねりを効果的に抑制できるのです。
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特にブリーチ毛との相性が良いのが酸性ストレートの大きな特徴です。従来の縮毛矯正では「ブリーチしているから断られた」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。2025年現在では、ブリーチ毛専用の酸性ストレートも登場し、ダメージレベルが高い髪でも安心して施術できるようになっています。
また、「ケラフェクトコネクター」という新技術も注目されています。これはブリーチなどのカラー剤と一緒に使用することで、施術しながら髪を修復できる画期的な技術です。これにより、カラーやブリーチによるダメージを最小限に抑えることが可能になりました。
水素トリートメントも進化を続けています。水素の力で髪のダメージの原因である「悪玉活性酸素」を除去し、髪内部の酸化を防ぎます。これは単なる「補修」ではなく、ダメージの「原因除去」という新しい発想のケアです。
従来のトリートメントが髪に栄養分を補給する「足し算のケア」であるのに対し、水素トリートメントは「引き算のケア」と言えるでしょう。特にカラーやパーマによるダメージで失われたツヤを取り戻したい方に効果的です。
自宅でできる効果的な髪質改善ホームケア
サロンでの髪質改善は効果的ですが、日々のホームケアがその効果を左右します。せっかくサロンで良いトリートメントを受けても、適切なホームケアをしなければ効果は半減してしまいます。
まず最も重要なのは、シャンプー選びです。洗浄力の強いシャンプーは必要な油分まで洗い流してしまい、乾燥やパサつきの原因になります。ダメージレベルに合わせたシャンプーを選ぶことが大切です。
ダメージレベル別おすすめシャンプー
レベル1〜2:弱酸性のアミノ酸系シャンプーがおすすめです。洗浄力が穏やかで、必要な油分を残しながら汚れだけを落とします。
レベル3〜4:補修成分入りのシャンプーを選びましょう。セラミドやケラチン、18-MEAなどの成分が配合されたものが効果的です。
レベル5〜6:低刺激の弱酸性シャンプーを使用し、できるだけ優しく洗いましょう。洗う回数も減らし、場合によっては2〜3日に1回の洗髪でも良いでしょう。
効果的なトリートメント方法
トリートメントは単に使うだけでなく、使い方にもコツがあります。まず、タオルドライで水分をしっかり取ってから使用しましょう。水分が多すぎると、トリートメント成分が薄まってしまいます。
また、トリートメントの放置時間も重要です。特にダメージが気になる方は、パッケージに記載されている時間よりも少し長めに置くと効果的です。蒸しタオルで包むと、熱で成分が浸透しやすくなります。
洗い流さないトリートメントは、濡れた髪に使うタイプと乾いた髪に使うタイプがあります。用途に合わせて使い分けましょう。特に毛先のダメージが気になる方は、毛先重点で使用するのがおすすめです。
熱ダメージを防ぐコツ
ドライヤーやヘアアイロンなどの熱ツールは、使い方次第で髪に大きなダメージを与えます。ドライヤーを使う際は、必ず熱保護スプレーを使用し、髪から10〜15cm離して使いましょう。また、最後は冷風に切り替えると、キューティクルが引き締まりツヤが出ます。
ヘアアイロンは140℃前後の低温で使用し、同じ箇所に何度も当てることは避けましょう。また、濡れた髪にアイロンを使うのは絶対にNGです。水分が瞬時に蒸発し、髪の内部からダメージを受けてしまいます。
髪質改善の真髄は、「傷ついた髪を元に戻す」のではなく、「これ以上傷まないように保護しながら、新しく生えてくる健康な髪を育てる」ことにあります。
日々のケアを丁寧に行い、定期的にサロンでのメンテナンスを受けることで、どんなダメージレベルの髪も徐々に改善していくことができるのです。
まとめ:あなたの髪に合った髪質改善プランの選び方
髪質改善は、ダメージレベルに合わせた適切なアプローチを選ぶことが成功の鍵です。自分の髪のダメージレベルを正しく把握し、それに合ったサロンメニューとホームケアを組み合わせることで、理想の髪質に近づけることができます。
ダメージレベル1〜2の方は、予防を中心としたケアを。紫外線対策用のコーティングトリートメントと、日々の丁寧なホームケアで、これ以上のダメージを防ぎましょう。
ダメージレベル3〜4の方には、プラチナアクアやマグネットケアがおすすめです。内部からの補修を行いながら、適切なホームケアで髪の状態を維持しましょう。
ダメージレベル5の方は、複合的なアプローチが必要です。マグネットケア、プラチナアクア、酸熱トリートメントを組み合わせた施術と、集中的なホームケアで改善を目指しましょう。
ダメージレベル6のハイダメージ毛の方も、最新の弱酸性縮毛矯正や複合トリートメントで改善の可能性があります。あきらめずに専門家に相談してみましょう。
また、2025年の最新技術である酸性ストレートや水素トリートメントも、ダメージレベルに関わらず効果を発揮する選択肢として検討する価値があります。
髪質改善は一朝一夕で実現するものではありません。継続的なケアと、専門家のアドバイスを取り入れながら、少しずつ理想の髪質に近づけていくことが大切です。
あなたの髪のダメージレベルに合った最適な髪質改善プランで、健やかで美しい髪を手に入れましょう。
詳しい髪質改善メニューや、あなたの髪に合ったケア方法については、髪質改善個室サロン「ECLART(エクラート)」にご相談ください。全席個室の贅沢な空間で、あなただけの髪質改善プランをご提案いたします。

