髪質改善と縮毛矯正、その根本的な違いとは
「髪質改善」と「縮毛矯正」。美容室のメニューでよく目にするこの2つの言葉、実は多くの方が混同しているんです。
私は美容師歴15年、髪質改善サロンでの施術経験を持つ髪質改善専門美容師として、年間1,000人以上のくせ毛・うねり毛に悩むお客様を担当してきました。その経験から言えるのは、この2つは全く異なる施術だということです。
「うねりが気になるけど、どちらを選べばいいの?」「髪の傷みが心配...」そんな声をよく耳にします。結論から言うと、あなたの髪の悩みと理想のスタイルによって最適な選択は変わってきます。
髪質改善と縮毛矯正は、見た目の仕上がりが似ているように感じるかもしれませんが、実は目的もアプローチ方法も全く異なります。
髪質改善は髪の内部に栄養を与えて健康的な状態に導くトリートメントの一種。一方、縮毛矯正は強いくせ毛をしっかり伸ばすための施術です。
今回は、この2つの施術の違いを徹底解説し、あなたに合った選択肢を見つけるお手伝いをします。
髪質改善とは?美しい髪を目指すトリートメント
髪質改善とは、正式名称を「酸熱トリートメント」という、酸性の成分を使った施術です。髪の毛の内部構造にアプローチして、ダメージを補修し、健康的な髪へと導くものです。
「髪質改善って何?」と思われる方も多いでしょう。簡単に言うと、髪の毛の内側から補修して、生まれ持った髪質を超えた美しい髪へと導く施術なんです。
グリオキシル酸などの酸性成分を毛髪内のアミノ基と反応させ、新たに「架橋結合」という結合を作ります。この結合が増えることで、毛髪内部が強化され、ハリコシが復元するんです。
髪質改善の特徴は、髪の毛の形状を変えるのではなく、ダメージで楕円形になった髪の毛を健康な髪のような円形に近づけることです。
これまでのトリートメントは、主に表面的な栄養補給が中心でした。しかし髪質改善は、髪の内部構造にまでアプローチするため、より持続的な効果が期待できるんです。
髪質改善のメリット
髪質改善には、数多くのメリットがあります。特に以下のような効果が期待できます。
- 少しのクセや広がり、ハネを落ち着かせることができる
- 他のトリートメントより効果の持続性が高い
- 乾かすだけできれいなツヤ感が出る
- 硬化してしまったぱさぱさな髪も柔らかいサラサラな髪質に変わる
- 湿気で広がりにくくなる
- 朝のお手入れが楽になる
私のお客様からは「朝のセット時間が半分になった!」「雨の日でも髪が広がらなくなった」という声をよく聞きます。特に梅雨の時期は髪質改善の予約が殺到するんですよ。
実際に私が施術したあるお客様は、毎朝のスタイリングに30分以上かけていたのが、髪質改善後はわずか10分で済むようになったと喜んでいました。時間に追われる朝の強い味方になりますね。
髪質改善のデメリット
もちろん、髪質改善にもデメリットはあります。正直なところをお伝えしますと:
- パーマをかけている方は、パーマが弱くなる場合がある
- 人によって水にぬれたときに独特の臭いが出ることがある
- 強いくせ毛を完全に伸ばすことはできない
- 効果を維持するには定期的な施術が必要
特に強いくせ毛の方が「髪質改善でストレートになる」と期待すると、少し物足りなく感じるかもしれません。髪質改善はあくまでも「改善」であって、髪の形状を大きく変えるものではないんです。
縮毛矯正とは?くせ毛を真っ直ぐに伸ばす施術
縮毛矯正は、特殊な薬剤を使って髪の毛を直毛に矯正する施術です。くせ毛や天然パーマの髪の毛を真っ直ぐにしたい方に効果的です。
「縮毛矯正をかけると髪がパキッとなりすぎて不自然...」と心配される方も多いですが、最近の技術は格段に進歩しています。自然な仕上がりも可能なんですよ。
縮毛矯正の施術内容は、1剤と2剤という2種類の薬剤を使用します。1剤には髪の毛を構築する組織を分解する働きがあり、これにより髪の毛が軟化します。
1剤で柔らかくなった髪の毛に、ストレートアイロンで髪をまっすぐにしてから2剤を使用します。2剤には髪の毛を酸化させて、まっすぐになった髪質をキープさせる役割があるんです。
この化学反応によって、どんなに強いくせ毛でもストレートに伸ばすことができます。
縮毛矯正のメリット
縮毛矯正の最大のメリットは、やはり強いくせ毛をしっかりと伸ばせることです。他にも以下のようなメリットがあります。
- 強いくせ毛や縮毛をしっかりストレートにできる
- 仕上がりはサラサラのストレートヘア
- 半年ほど効果が持続するので、長期間ストレートをキープできる
- アイロンやブローなしでもまとまりやすい
- 雨や湿気に強い
私が担当したあるお客様は、強いくせ毛で悩み、毎朝1時間以上かけてストレートアイロンをしていました。縮毛矯正後は「朝起きてブラッシングするだけでOK!人生が変わった」と喜んでいました。
くせ毛の悩みから解放されることで、生活の質が大きく向上することも少なくないんです。
縮毛矯正のデメリット
縮毛矯正にはメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存じておくべきです。
- 施術によるダメージがあるため、適切なケアが必要
- パキッとした不自然なストレートになることがある
- アルカリによるダメージがある
- カラーによるトーンアップが難しい
- 色が入りすぎて沈み、暗くなりやすい
- 液タイプのパーマはかからなくなる(デジタルパーマは可能)
- ブリーチは不可能、または髪が切れるリスクが高い
特に注意したいのは、一度縮毛矯正をかけた部分は、その薬剤が無くならない限り上記のデメリットが続くということ。新しく生えてきた根元部分だけを施術する「リタッチ」という方法で対応することが一般的です。
髪質改善と縮毛矯正の決定的な違い
ここまで髪質改善と縮毛矯正について個別に見てきましたが、この2つの施術の決定的な違いは何でしょうか?
最も大きな違いは、目的とアプローチ方法です。
縮毛矯正は「生まれ持ったくせ毛や加齢による髪のうねりを真っ直ぐにすること」が目的です。一方、髪質改善は「カラーやパーマ、または縮毛矯正の失敗によるダメージを修復し、健康的な髪に戻すこと」を目的としています。
つまり、縮毛矯正は一見ツヤツヤで髪質そのものが改善されたように見えますが、そこには必ずダメージが伴います。同じ場所に何度も縮毛矯正剤をつければ、いつか必ず縮れたり切れたりするんです。
それに対して、髪質改善では何度も施術することで髪質自体が良くなっていくため、最終的には「完治」の状態を目指すことができます。1度完治してしまえば、もはや縮毛矯正すら要らなくなる場合もあるほどです。
どちらを選ぶべきか迷っていますか? それぞれの特徴を表にまとめてみました。
髪質改善に向いている人
髪質改善は、以下のような方に特におすすめです。
- コテやアイロンを頻繁に使う方
- 年齢とともにクセが出た、髪質が変わってしまった方
- 朝はきれいにまとまっているのに夕方になると広がってしまう方
- あまり目立ったクセはないけど寝癖や湿気による広がりが気になる方
- ダメージで弱っている方(ブリーチ毛など)
- 自然なスタイルを好む方
私のサロンでは、「縮毛矯正ほど強くストレートにする必要はないけど、もう少し扱いやすくしたい」というお客様に髪質改善をおすすめしています。
特に、髪の広がりやパサつきが気になる方には効果的です。髪質改善を続けることで、徐々に扱いやすい髪質に変わっていくことを実感していただけます。
縮毛矯正が向いている人
一方、縮毛矯正は以下のような方に向いています。
- 強いくせ毛や縮毛をしっかり伸ばしたい方
- ストレートスタイルを長持ちさせたい方
- うねりや広がりをしっかり抑えたい方
- 毎日のスタイリングに時間をかけたくない方
- 雨や湿気に負けない髪質にしたい方
「朝起きたらそのままでOK」という手軽さを求める方には、縮毛矯正が適しています。特に強いくせ毛で悩んでいる方には、髪質改善だけでは物足りないと感じることが多いです。
私のお客様の中には「何度髪質改善をしても満足できなかったけど、縮毛矯正をしたら悩みが解決した」という方もいらっしゃいます。
髪質改善と縮毛矯正の組み合わせという選択肢
「髪質改善と縮毛矯正、どちらか一方しか選べないの?」
実はそんなことはありません。この2つの施術は組み合わせることも可能なんです。
縮毛矯正でくせ毛を伸ばした後に、髪質改善でダメージケアをすることで、ストレートな髪質と健康的なツヤ感の両方を手に入れることができます。
また、縮毛矯正をした部分のケアとして、髪質改善を定期的に行うことで、ダメージを軽減することも可能です。
さらに、ダメージが気になる方は、髪質改善をメインにして、根元のみ縮毛矯正をかけるという方法もあります。これにより、くせ毛の気になる部分だけを効果的に処理しながら、全体的な髪の健康を維持できるんです。
私が担当したあるお客様は、前髪だけが強いくせ毛で悩んでいました。そこで前髪のみ縮毛矯正をかけ、全体には髪質改善を施術したところ、「理想通りの髪になった!」と大変喜んでいただけました。
あなたの髪質や悩みに合わせて、最適な組み合わせを見つけることが大切です。
髪質改善縮毛矯正という選択肢
近年では「髪質改善縮毛矯正」という、両方の良いところを取り入れたメニューも登場しています。これは従来の縮毛矯正よりもダメージを抑えながら、くせ毛をしっかり伸ばす施術です。
髪質改善縮毛矯正の特徴は、通常の縮毛矯正よりも薬剤が髪に優しく、施術後のケア効果も高いこと。ストレートになりながらも、パキッとした不自然さがなく、自然な動きと艶を持った髪に仕上がります。
ただし、サロンによって「髪質改善縮毛矯正」の内容は異なることがあります。中には通常の縮毛矯正に少しトリートメントを加えただけのものもあるので、事前にしっかり確認することをおすすめします。
どうですか?
髪質改善と縮毛矯正の違いが少しずつ見えてきましたか?
髪質改善と縮毛矯正を選ぶ際の注意点
髪質改善と縮毛矯正、どちらを選ぶにしても、いくつか注意すべきポイントがあります。
サロン選びが重要
特に髪質改善は、サロンによって使用する薬剤や施術方法が大きく異なります。「髪質改善」という言葉だけで選ぶのではなく、そのサロンがどのような施術を行っているのか確認することが大切です。
残念ながら、中には名前だけ髪質改善をうたっているだけで、内容は普通の縮毛矯正やトリートメントというところもあります。予約をする際は、そのサロンの髪質改善の内容が何なのかを確認しましょう。
縮毛矯正も同様に、スタイリストによって仕上がりに大きな差が出る技術です。薬剤の進化のスピードが速く、サロンによって大きな差があるのが実情です。
施術後のホームケアも重要
どちらの施術を選んでも、その効果を長持ちさせるためには適切なホームケアが欠かせません。
特に縮毛矯正後は、施術によるダメージをケアするためのトリートメントが重要です。また、髪質改善後は、効果を持続させるための専用シャンプーやトリートメントを使用することで、より長く効果を実感できます。
私がお客様におすすめしているのは、洗浄力の強すぎないアミノ酸系シャンプーと、週に1〜2回の集中トリートメント。これだけでも施術の持ちが全然違ってきますよ。
定期的なメンテナンスを忘れずに
髪質改善も縮毛矯正も、一度の施術で永久的な効果があるわけではありません。定期的なメンテナンスが必要です。
髪質改善は、効果を実感するには継続が必要。最初は1〜2ヶ月に1回程度、状態が良くなってきたら2〜3ヶ月に1回のペースがおすすめです。
縮毛矯正は、新しく生えてきた根元部分のみを施術する「リタッチ」を3〜6ヶ月に1回程度行うことで、ダメージを最小限に抑えながら美しいストレートヘアを維持できます。
まとめ:あなたに合った施術を選ぼう
髪質改善と縮毛矯正、それぞれの特徴を理解することで、自分に合った施術を選ぶことができます。
髪質改善は、髪の内部構造を補修し、健康的なツヤと扱いやすさを実現するトリートメント。少しのクセや広がりを抑え、ダメージレスで美しい髪を目指す方に向いています。
一方、縮毛矯正は強いくせ毛をしっかり伸ばし、長期間ストレートをキープできる施術。手間のかからないストレートヘアを求める方に適しています。
どちらを選ぶべきか迷ったら、まずは自分の髪の状態と理想のスタイルを考えてみましょう。そして、信頼できる美容師に相談することをおすすめします。
また、髪質改善と縮毛矯正を組み合わせることで、より理想の髪質に近づけることも可能です。あなたの髪質や悩みに合わせたオーダーメイドの施術プランを考えてもらいましょう。
最後に、どんな施術を選んでも、適切なホームケアと定期的なメンテナンスが美しい髪を維持する秘訣です。
あなたの髪の悩みが解消され、理想の髪質に近づけますように。
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