「髪がパサついて広がる」「くせ毛が気になる」「ツヤがなくなった」
このような髪の悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
私は美容師歴15年、髪質改善専門サロンで年間1,000人以上のお客様の髪質改善を担当してきました。その経験から言えるのは、髪の悩みは人それぞれですが、適切なケアで驚くほど改善できるということです。
近年、美容室のメニューで「髪質改善」という言葉をよく目にするようになりました。しかし、実際にどのような施術なのか、どんな効果があるのかを詳しく知らない方も多いはずです。
髪質改善とは?基本的な仕組みと効果
髪質改善とは、ダメージを受けた毛髪内部の結合を、特殊な薬剤と熱の力によって修復していく施術方法です。
髪の毛は、内部で「架橋結合」と呼ばれる成分同士の結合によって形を保っています。この結合がしっかりしていることで、髪にツヤやハリコシが生まれるのです。
しかし、パーマやカラーリング、紫外線、乾燥などのダメージによって、この架橋結合が破壊されてしまうと、髪はパサパサになり、ツヤがなくなってしまいます。
髪質改善トリートメントは、スチームや遠赤外線などの熱を当てながら、特殊な薬剤の成分を髪に浸透させることで、この架橋結合を修復していきます。
結果として、以下のような効果が期待できます。
- 髪のツヤの復活
- 指通りの改善
- 髪のハリ・コシの向上
- 軽度のうねりやクセの改善
- カラーリングの色持ちの向上
髪質改善は一度の施術で完全に良くなるわけではありませんが、初回から効果を感じることができ、繰り返すごとにより効果を実感できるようになります。
あなたの髪は、どんな状態ですか?
髪質改善の種類と特徴
髪質改善には様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。主な種類について解説します。
酸熱トリートメント
酸熱トリートメントは、髪質改善の代表的な施術方法の一つです。酸性の薬剤と熱を組み合わせて髪を修復します。
酸熱トリートメントの特徴は、くせ毛やうねりの改善効果があることです。通常のトリートメントと違い、髪の内部構造に働きかけるため、より持続的な効果が期待できます。
仕組みとしては、まず酸性の薬剤を髪に塗布し、その後アイロンなどの熱を加えることで、髪内部のタンパク質同士を結合させます。これにより、くせ毛がまっすぐに引っ張られた状態になり、うねりが改善されるのです。
ただし、強いくせ毛の場合は効果を感じにくいこともあるため、そのような場合は縮毛矯正との併用がおすすめです。
プレックス系トリートメント
プレックス系トリートメントは、髪の内部結合(ジスルフィド結合)を修復する効果に特化した施術です。特にブリーチなどの強いダメージを受けた髪に効果的です。
髪の毛のダメージの多くは、このジスルフィド結合(SS結合)の切断によって起こります。プレックス系トリートメントは、切れてしまったこの結合を修復し、髪の強度を回復させます。
カラーリングと同時に行うことで、ダメージを最小限に抑えながら施術できるのも特徴です。
タンパク質系トリートメント
髪の毛の主成分であるタンパク質(ケラチン)を補給するトリートメントです。通常のサロントリートメントよりも濃度が濃く、浸透性に優れ、毛髪内部に定着しやすいものを使用します。
髪の内部にタンパク質を補給することで、髪の強度やハリコシを回復させる効果があります。
髪質改善コースでは、これらのトリートメントを組み合わせて施術することが多いです。あなたの髪質や悩みに合わせて、最適な組み合わせを選ぶことが大切です。
髪質改善と一般的なトリートメントの違い
「髪質改善」と「一般的なトリートメント」。名前は似ていますが、実は大きな違いがあります。
一般的なトリートメントは、主に髪の表面をコーティングしたり、毛髪内部に栄養成分を補ったりすることで、一時的にダメージを補修するケア方法です。
効果は即効性があり、施術直後から髪がしっとりとなめらかになりますが、シャンプーを数回すると効果が薄れていきます。値段も比較的安価で、手軽に試せるのが特徴です。
一方、髪質改善は毛髪内部の結合を修復することで、髪質そのものを改善していく施術です。
一般的なトリートメントと比較して以下のような違いがあります。
- 効果の持続性:一般的なトリートメントは数日〜1週間程度、髪質改善は1〜3ヶ月程度持続
- 施術時間:一般的なトリートメントは15〜30分程度、髪質改善は60〜120分程度
- 料金:一般的なトリートメントは2,000〜5,000円程度、髪質改善は10,000〜30,000円程度
- 効果の深さ:一般的なトリートメントは表面的、髪質改善は内部構造からの改善
髪質改善は、単なる表面的なケアではなく、髪の内部構造に働きかけることで、より持続的な効果を生み出します。そのため、価格は高めですが、長期的に見ると効果的なケア方法と言えるでしょう。
あなたは今、どちらのケアを求めていますか?
髪質改善と縮毛矯正の違い
髪質改善と縮毛矯正は、どちらも髪をきれいに見せる施術ですが、目的や方法、効果には大きな違いがあります。
縮毛矯正の特徴
縮毛矯正は、強いくせ毛やうねりを真っ直ぐにすることを目的とした施術です。
薬剤の力で毛髪内部の結合を一度切断し、アイロンでクセを伸ばした後、再び結合を作り直すという方法を取ります。非常に強力な効果があり、強いくせ毛も真っ直ぐにすることができます。
しかし、髪への負担も大きく、ダメージケアの効果はほとんどありません。むしろ、施術によって髪にダメージを与えることになります。
髪質改善の特徴
一方、髪質改善は髪のダメージを補修し、健康的な髪に導くことを目的としています。
毛髪内部の乱れた結合を修復することで、パサつきや広がりを抑え、ツヤやハリコシを取り戻します。弱〜中程度のうねりやクセにも効果がありますが、強いくせ毛を真っ直ぐにする効果は縮毛矯正ほど強くありません。
髪へのダメージが少なく、むしろダメージを修復する効果があるのが特徴です。
どちらを選ぶべき?
選ぶ基準は、あなたの髪の悩みや目的によって異なります。
強いくせ毛を真っ直ぐにしたい → 縮毛矯正
- パサつきや広がりを抑え、ツヤを出したい → 髪質改善
- 軽度〜中程度のうねりを改善したい → 髪質改善
- ダメージヘアを修復したい → 髪質改善
また、最近では「髪質改善縮毛矯正」という、両方のいいとこどりをした施術も登場しています。これは、縮毛矯正の効果を保ちながら、髪質改善成分で髪へのダメージを最小限に抑える施術です。
強いくせ毛があり、かつダメージも気になる方には、この「髪質改善縮毛矯正」がおすすめです。
髪質改善の効果を最大化するためのポイント
髪質改善の効果をより長く、より高めるためには、いくつかのポイントがあります。
施術頻度と期間
髪質改善は1回で完璧になるものではなく、繰り返し行うことでより効果が高まります。
一般的には、最初の5カ月で3回ほどの施術がおすすめです。その後は、髪の状態に合わせて2〜3ヶ月に1回程度のメンテナンスを行うと良いでしょう。
私のサロンでも、初めは集中的に施術を行い、その後は状態を見ながら間隔を調整していくというアプローチを取っています。
ホームケアの重要性
サロンでの施術だけでなく、日々のホームケアも髪質改善の効果を持続させるためには非常に重要です。
特に重要なのは、シャンプーとトリートメントの選び方です。髪質改善後は、サロンでおすすめされた専用のホームケア製品を使用することをおすすめします。
一般的なドラッグストアで売られているシャンプーやトリートメントには、シリコンや界面活性剤が多く含まれているものがあります。これらは一時的に髪をきれいに見せますが、長期的には髪質改善の効果を損なう可能性があります。
髪質改善専用のホームケア製品は、髪内部の修復効果を持続させる成分が配合されており、効果を長く保つことができます。
日常生活での注意点
日常生活での習慣も、髪質改善の効果に大きく影響します。
熱ダメージを避ける:ドライヤーやヘアアイロンは低温で使用し、熱保護スプレーを使う
- 紫外線対策:日焼け止めスプレーや帽子で髪を守る
- 摩擦ダメージを減らす:濡れた髪を強くこすらない、寝る前に髪を結ばない
- 定期的なトリム:枝毛や切れ毛を放置せず、定期的に切りそろえる
これらの点に注意することで、髪質改善の効果をより長く保つことができます。
あなたは今、どのようなヘアケアを行っていますか?
髪質改善の歴史と進化
髪質改善トリートメントは、長い美容の歴史の中で進化してきました。その歴史を振り返ることで、現在の髪質改善技術がいかに進化しているかがわかります。
髪質改善の歴史
髪質改善の歴史は、1950年代にまで遡ります。当時は石鹸シャンプーが主流で、髪がごわついてしまうという問題がありました。
そこで登場したのが「レモン汁リンス」です。レモン汁の酸性によって髪を酸性に傾け、キューティクルを閉じることでツルツルした手触りとツヤを実現していました。これが、現在の酸熱トリートメントの原点とも言えます。
その後、1960〜70年代には界面活性剤を利用したシャンプーとトリートメントが登場し、1980年代にはシリコン配合によるツヤと質感を重視した製品が普及しました。
1990年代から2000年代にかけては、ヘアカラーブームによる髪のダメージケアの需要に応えるため、PPT(ポリペプチド)やCMC(脂質)などの毛髪補修成分が発達しました。
そして2010年以降、ブリーチオンカラーブームに伴い、酸熱トリートメントやプレックス剤、架橋剤など高持続性のケアが発展し、現在の髪質改善トリートメントへと進化してきたのです。
最新の髪質改善技術
2025年現在、髪質改善技術はさらに進化を遂げています。
特に注目されているのは、「新規髪質改善成分」の開発です。これらは従来の成分よりも浸透性が高く、持続性も向上しています。
また、ナノバブル水ジェネレーターなどの新しい技術を活用した施術方法も研究されています。これにより、薬剤の浸透性を高め、より効果的な髪質改善が可能になってきています。
さらに、SDGsの観点から、環境にやさしい成分を使用した髪質改善トリートメントの開発も進んでいます。「Feel(実感できる)」「Natural(天然由来)」「Biodegradable(生分解性)」「Sustainability(持続可能)」「Animal origin-free(動物由来原料不使用)」「Cost-effectiveness(費用対効果)」という6つの要素を満たす製品開発が進められています。
これらの技術革新により、髪へのダメージを最小限に抑えながら、より効果的な髪質改善が可能になってきているのです。
髪質改善を受ける前に知っておくべきこと
髪質改善を受ける前に、いくつか知っておくべきポイントがあります。
適切なサロン選び
髪質改善の効果は、サロンや美容師の技術力によって大きく左右されます。
サロン選びのポイントとしては、以下の点に注目すると良いでしょう。
- 髪質改善の実績や症例写真が豊富にあるか
- 使用している薬剤や施術方法について詳しく説明してくれるか
- カウンセリングが丁寧で、あなたの髪質や悩みをしっかり聞いてくれるか
- アフターケアについての説明があるか
ECLARTのような髪質改善専門サロンでは、最新のテクノロジーを活用し、すべての髪タイプと年齢層に最適なヘアエステと縮毛矯正を提供しています。全席個室を完備しているので、リラックスできるプライベート空間で施術を受けることができるのも魅力です。
施術前の準備
髪質改善の効果を最大限に引き出すためには、施術前の準備も重要です。
施術前日のシャンプーは普段通りに行う(頭皮の皮脂が適度にあった方が薬剤の刺激から頭皮を守れます)
- 施術当日は、ヘアスタイリング剤をなるべく使用しない
- 頭皮に傷や炎症がある場合は事前に伝える
- 過去の施術歴(特にカラーやパーマ、縮毛矯正など)を正確に伝える
費用と時間の目安
髪質改善は一般的なトリートメントと比べて、費用も時間もかかります。
費用の目安としては、サロンやエリアによって異なりますが、10,000円〜30,000円程度が一般的です。髪の長さや状態によっても変わってきます。
施術時間は、60分〜120分程度かかることが多いです。しっかりと時間をとって施術を行うことで、より効果的な結果が得られます。
また、髪質改善は1回で完璧になるものではなく、定期的に繰り返すことでより効果が高まります。そのため、長期的な視点で費用と時間を考えることが大切です。
あなたの髪の悩みは、髪質改善で解決できるかもしれません。まずは専門のサロンでカウンセリングを受けてみることをおすすめします。
まとめ:髪質改善で理想の髪へ
髪質改善は、ダメージを受けた髪を内部から修復し、健康的で美しい髪へと導く施術です。
酸熱トリートメントやプレックス系トリートメント、タンパク質系トリートメントなど、様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。あなたの髪質や悩みに合わせて、最適な施術を選ぶことが大切です。
一般的なトリートメントとの大きな違いは、効果の持続性と深さです。髪質改善は髪の内部構造に働きかけるため、より持続的な効果が期待できます。
縮毛矯正との違いは、目的と髪へのダメージです。縮毛矯正は強いくせ毛を真っ直ぐにすることが目的ですが、髪質改善はダメージを修復し健康的な髪に導くことが目的です。
効果を最大化するためには、適切な頻度での施術、専用のホームケア製品の使用、日常生活での注意点を守ることが重要です。
髪質改善の技術は日々進化しており、2025年現在では、より効果的で持続性の高い施術が可能になっています。
髪の悩みは人それぞれですが、適切な髪質改善施術とケアによって、多くの悩みは解決できます。まずは専門のサロンでカウンセリングを受け、あなたに最適な髪質改善プランを見つけてみてください。
理想の髪は、あなたの手の届くところにあります。
詳しい情報や施術内容については、髪質改善個室サロン ECLART(エクラート) にお問い合わせください。経験豊富な美容師が、あなたの髪質に合わせた最適な施術プランをご提案します。