「縮毛矯正をした後にブリーチしたい…」
そんな願望を持ちながらも、「髪が傷むのでは?」「そもそも可能なの?」と不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
美容師として15年、年間1,000人以上の髪質改善を担当してきた経験から言えることがあります。縮毛矯正とブリーチは、正しい知識と適切なケアがあれば、決して相容れない施術ではないのです。
この記事では、縮毛矯正後のブリーチについて、その可否や注意点、そして両立させるための具体的な方法を詳しく解説します。髪の健康を守りながら、理想のヘアスタイルを手に入れるためのヒントが見つかるはずです。
縮毛矯正後のブリーチは本当に可能なのか?
「縮毛矯正した髪にブリーチはできない」と言われることが多いですが、これは半分は正しく、半分は誤解です。
結論から言うと、縮毛矯正後のブリーチは可能です。ただし、髪の状態や施術のタイミング、そして使用する薬剤によって、その安全性と仕上がりは大きく変わってきます。
縮毛矯正は髪の内部構造を化学的に変化させる施術です。髪のタンパク質結合(システイン結合)を一度切断し、まっすぐな状態で再結合させます。一方、ブリーチは髪の内部にあるメラニン色素を分解して脱色する施術です。
両方とも髪に大きな負担をかける化学処理であるため、連続して行うと髪が極度に傷んでしまう可能性があります。しかし、適切な期間を空けることや、髪の状態に合わせた薬剤選びをすることで、縮毛矯正後のブリーチは可能になるのです。
縮毛矯正とブリーチの化学的な関係
縮毛矯正とブリーチ、この二つの施術がどのように髪に影響するのかを理解することが重要です。
縮毛矯正は、主にアルカリ剤を使用して髪のシステイン結合を切断し、還元状態にします。その後、酸化剤で新たな結合を形成させます。
ブリーチは過酸化水素などの酸化剤を使用して、髪内部のメラニン色素を分解します。この過程で髪のタンパク質も損傷を受けます。
つまり、両方の施術は髪の内部構造に大きな変化をもたらすため、連続して行うと髪が耐えられなくなる可能性が高いのです。
美容師が教える現実的な見解
私の経験から言えば、縮毛矯正後すぐのブリーチは避けるべきです。最低でも2週間、理想的には1ヶ月以上の間隔を空けることをお勧めします。
また、髪の状態が良好であることが前提条件となります。すでに傷んでいる髪や、過去に何度も化学処理を繰り返している髪では、リスクが高まります。
どうしても両方の施術を希望する場合は、必ず信頼できる美容師に相談し、髪の状態を正確に診断してもらうことが大切です。
あなたの髪は一人一人異なります。同じ施術でも、髪質や過去の施術履歴によって結果は大きく変わってくるのです。
縮毛矯正後にブリーチするタイミングと注意点
縮毛矯正後にブリーチをするなら、そのタイミングは非常に重要です。髪へのダメージを最小限に抑えるためには、適切な間隔を空ける必要があります。
縮毛矯正直後の髪は非常にデリケートな状態です。髪内部の結合が再形成されたばかりで、安定するまでに時間がかかります。この状態でブリーチを行うと、髪が切れたり、極度に傷んだりするリスクが高まります。
最適な待機期間
美容師としての経験から、縮毛矯正後のブリーチまでの待機期間は以下のようにお勧めします。
- 最低待機期間:2週間 - 髪の表面的な回復に必要な期間
- 理想的な待機期間:4〜8週間 - 髪内部の結合が安定する期間
- 髪の状態が良くない場合:3ヶ月以上 - 髪が十分に回復するまでの期間
この期間中は、髪に優しいケア製品を使用し、熱スタイリングを控えることで、髪の回復を促進することができます。
待機期間中に適切なトリートメントを行うことで、ブリーチに耐えられる髪の状態に近づけることができるのです。
施術前の髪の状態チェック
ブリーチを行う前に、必ず髪の状態をチェックすることが重要です。以下のような状態の場合は、ブリーチを延期することを検討すべきでしょう。
- 髪が引っ張ると伸びる(弾力が失われている)
- 指通りが悪く、絡まりやすい
- 髪の表面がざらついている
- 乾燥が激しく、パサつきが目立つ
- 髪が切れやすく、枝毛や切れ毛が多い
これらの症状がある場合は、まず髪の健康を回復させることを優先しましょう。
あなたの髪の状態を客観的に判断できないときは、美容師に相談することをお勧めします。プロの目で見れば、ブリーチが可能かどうか正確に判断できます。
髪質改善で縮毛矯正とブリーチを両立させる方法
縮毛矯正とブリーチ、この相性の悪い二つの施術を両立させるためには、髪質改善という視点が欠かせません。
髪質改善とは、単に表面的なトリートメントではなく、髪の内部構造にアプローチして健康な状態に導くケアのことです。縮毛矯正とブリーチの間に適切な髪質改善を行うことで、髪へのダメージを軽減し、美しい仕上がりを実現できます。
施術前の準備と髪質診断
まず重要なのは、正確な髪質診断です。髪の太さ、密度、ダメージレベル、過去の施術履歴などを総合的に評価します。
私が美容師として大切にしているのは、お客様の髪を触って、見て、そして話を聞くことです。髪質診断は数値だけでは測れない、経験と感覚が必要な技術なのです。
髪質診断の結果に基づいて、以下のような準備を行います。
- 髪の状態に合わせた前処理トリートメント
- 髪の強度を高めるためのホームケア指導
- 施術のスケジュール設計(縮毛矯正とブリーチの間隔)
これらの準備を丁寧に行うことで、施術のリスクを大幅に減らすことができます。
髪質改善トリートメントの効果的な活用
縮毛矯正とブリーチの間に行う髪質改善トリートメントは、単なる保湿ではなく、髪の内部構造を補修する効果が必要です。
特に効果的なのは、以下のような成分を含むトリートメントです。
- ケラチン - 髪の主成分を補給
- アミノ酸 - タンパク質の構成要素を補給
- セラミド - 髪の保湿と保護
- 18-MEA - キューティクルの保護成分
これらの成分を含むトリートメントを、縮毛矯正後から定期的に行うことで、ブリーチに耐えられる髪の状態に近づけることができます。
サロンでの本格的な髪質改善トリートメントと、自宅でのホームケアを組み合わせることが理想的です。
最新技術:酸性縮毛矯正とケアブリーチの活用
美容技術は日々進化しています。特に注目すべきは、髪へのダメージを最小限に抑える「酸性縮毛矯正」と「ケアブリーチ」という最新技術です。
これらの技術を活用することで、従来は難しいとされていた縮毛矯正とブリーチの両立が、より安全に実現できるようになってきました。
酸性縮毛矯正のメリット
従来の縮毛矯正は強いアルカリ剤を使用するため、髪へのダメージが大きいという課題がありました。それに対して酸性縮毛矯正は、酸性またはそれに近い弱酸性の薬剤を使用します。
酸性縮毛矯正の主なメリットは以下の通りです。
- 髪へのダメージが少ない
- 自然な仕上がりと柔らかな質感
- 髪の艶が失われにくい
- カラーリングとの相性が良い
- 薬剤特有の嫌な臭いが少ない
酸性縮毛矯正は、特にブリーチを予定している方にとって理想的な選択肢です。髪の内部構造を過度に変化させることなく、くせ毛を伸ばすことができるからです。
ただし、強いくせ毛の場合は、従来のアルカリ性縮毛矯正に比べて効果が弱いことがあります。髪質や希望する仕上がりに合わせて選択することが重要です。
ケアブリーチの特徴と利点
ケアブリーチとは、従来のブリーチにダメージケア成分を配合したり、施術方法を工夫したりすることで、髪へのダメージを軽減する技術です。
ケアブリーチの主な特徴と利点は以下の通りです。
- ダメージ軽減成分の配合(オラプレックスなど)
- 髪の状態に合わせた薬剤調整
- 部分的な施術による負担分散
- 髪の強度を保ちながらの脱色
- 施術後のケアまで考慮した総合的なアプローチ
ケアブリーチは、縮毛矯正後の髪にも比較的安全に施術できる可能性が高まります。ただし、髪の状態によっては施術できない場合もありますので、必ず専門家の判断を仰ぐことが大切です。
プロが教える施術後のホームケア方法
縮毛矯正とブリーチ、両方の施術を受けた髪は特別なケアが必要です。サロンを出た後の日々のケアが、髪の健康と美しさを左右します。
15年の美容師経験から、最も効果的なホームケア方法をお伝えします。これらのケアを継続することで、髪の状態を維持し、次の施術までの髪の健康を守ることができます。
適切なシャンプー・トリートメントの選び方
縮毛矯正とブリーチを両方施した髪には、特別に配慮されたシャンプーとトリートメントが必要です。
シャンプー選びのポイントは以下の通りです。
- アミノ酸系シャンプーを選ぶ - 低刺激で髪に優しい
- 弱酸性のものを選ぶ - 髪と同じpHに近いため負担が少ない
- 硫酸系界面活性剤を避ける - 洗浄力が強すぎて必要な油分まで奪う
- シリコンフリーにこだわりすぎない - 適切なシリコンは髪を保護する
トリートメントは、単なる表面コーティングではなく、髪の内部まで浸透するタイプを選びましょう。特にタンパク質やアミノ酸、セラミドなどの補修成分が含まれているものがおすすめです。
また、週に1〜2回は集中ケアとして、ヘアパックやヘアマスクを使用すると効果的です。時間をかけてじっくり浸透させることで、髪の内部までケア成分が行き届きます。
日常生活での髪の守り方
シャンプーやトリートメント以外にも、日常生活の中で髪を守るためのポイントがあります。
- 熱スタイリングを控える - ドライヤーやアイロンの熱は最小限に
- 熱保護スプレーを使用する - 熱スタイリング前には必ず保護剤を
- UVカット製品で紫外線から守る - 特にブリーチ毛は紫外線の影響を受けやすい
- 寝る前のヘアオイル - 就寝中の摩擦からも髪を守る
- シルクやサテンの枕カバー - 摩擦を減らし髪の絡まりを防ぐ
また、プールや海水浴の際は、塩素や塩分から髪を守るために、事前に洗い流さないトリートメントを塗布しておくことをお勧めします。
これらのケアを日常的に行うことで、縮毛矯正とブリーチという二つの負担の大きい施術を受けた髪でも、美しさを保つことができるのです。
失敗しないためのサロン選びと相談のポイント
縮毛矯正とブリーチの両立は、サロンや美容師の技術力によって大きく左右されます。適切なサロン選びと、効果的な相談方法を知ることが、美しい髪を手に入れる第一歩です。
私が美容師として多くのお客様を見てきた経験から、失敗しないためのポイントをお伝えします。
信頼できる美容師の見極め方
縮毛矯正とブリーチ、両方の施術に精通した美容師を見つけることが重要です。以下のポイントをチェックしましょう。
- 施術実績の確認 - SNSやブログで実際の施術例を確認する
- 口コミや評判 - 特に縮毛矯正後のブリーチについての評価を調べる
- カウンセリングの丁寧さ - 髪の状態を詳しく診断してくれるか
- リスクの説明 - メリットだけでなく、デメリットやリスクも説明してくれるか
- アフターケアの指導 - 施術後のケア方法を詳しく教えてくれるか
特に重要なのは、「無理な施術を断る勇気がある美容師」を選ぶことです。髪の状態が良くない時に「できます」と安易に引き受ける美容師よりも、時には「今はお勧めできません」と正直に伝えてくれる美容師の方が信頼できます。
効果的なカウンセリングのために伝えるべきこと
美容師に正確な判断をしてもらうためには、あなた自身からの情報提供も重要です。カウンセリングで伝えるべき情報は以下の通りです。
- 過去の施術履歴 - いつ、どんな施術を受けたか(自宅でのセルフカラーも含む)
- 使用している製品 - 普段使っているシャンプーやスタイリング剤
- 髪の悩み - 乾燥、パサつき、絡まりやすさなど具体的な症状
- 理想のスタイル - 最終的に目指したい髪色や質感
- 生活習慣 - ヘアスタイリングの頻度、プールの利用頻度など
これらの情報を事前に整理しておくことで、美容師はあなたの髪に最適な施術プランを提案できます。
また、不安なことや疑問点は遠慮せずに質問しましょう。プロの美容師は、お客様の疑問に丁寧に答え、安心して施術を受けられるよう配慮します。
まとめ:理想の髪を手に入れるための総合戦略
縮毛矯正後のブリーチは、正しい知識と適切なケア、そして信頼できる美容師の技術があれば、決して不可能ではありません。
この記事でお伝えした内容をまとめると、以下のポイントが重要です。
- 適切な間隔を空ける - 縮毛矯正後、最低2週間、理想的には1ヶ月以上待つ
- 髪の状態を最優先する - 髪の健康状態が良くない場合は施術を延期する勇気を
- 髪質改善を積極的に取り入れる - 施術の間に髪の内部から補修するケアを
- 最新技術を活用する - 酸性縮毛矯正やケアブリーチなどダメージの少ない選択肢を
- 日常のケアを怠らない - 適切なホームケアで髪の健康を維持する
- 信頼できる美容師を選ぶ - 技術力と誠実さを兼ね備えた美容師に相談する
髪質改善の視点を持ちながら、縮毛矯正とブリーチを計画的に行うことで、「まっすぐで明るい髪」という理想を、髪の健康を損なうことなく実現できます。
美しい髪は一日にしてならず。日々のケアの積み重ねが、あなたの理想の髪を作り上げていくのです。
髪質改善に関するより詳しい情報や、あなたの髪に合わせた個別のアドバイスが必要な場合は、ぜひ専門の美容師に相談してみてください。

髪質改善個室サロンECLARTでは、縮毛矯正とブリーチの両立を含め、あなたの髪の悩みに合わせた最適な施術プランをご提案しています。髪の健康を最優先に考えた施術で、理想の髪を手に入れるお手伝いをいたします。詳しくは髪質改善のページをご覧ください。

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